生活動作を促すサポート集 2014年9月20日更新 シェア ツイート 「道具をうまく使えない」「運動がうまくできない」といった不器用さは、生活に困難をきたしたり身辺自立の発達を停滞させるだけでなく、集団生活、さらには自尊感情の発達にも影響を及ぼします。しかし、大人は、経験してきたはずの発達の経過を覚えていないので、いざ子どもに教えるときに、現在自分がしている完成形からさせようとしがちです。無理強いするとそれまでできていたことができなくなったり、それ自体が嫌になったりしてしまうことがあります。ここでは発達の段階を知り、つまづきの原因を探ることから始めるサポート例をご紹介します。お子さんの「できない」が「できた!」につながることを願って・・・。 正しい箸の持ち方 確認しておきたい基本動作~お子さんはどこまで、できていますか~ 1、鉛筆やスプーンを3本の指でもてますか。 2、親指と人差し指で丸が作れますか。 3、じゃんけんのチョキができますか。 ★ 発達の段階 手掌回内握り(1~1.5 歳) 手指回内握り (2~3 歳) 静的三指握り(3.5~4 歳) 動的三指握り(4・5~6 歳) ★原因別サポート法 1、 両手がうまく使えないときには・・・ 手の大きさにあった安定した器で食事をしましょう! 箸や器をうまく操作できないと『かき込み食べ』になってしまいます。そこで、まずは底の広い安定した器を机の上に置き(滑り止めシートの利用もいいですね)、箸を持つ反対の手で支えることから練習を始めましょう!お椀の大きさは、中指と薬指がお椀の底に、親指はふちの近くで持ったときに安定して支えられるくらいが理想です。 2,感覚が未発達なお子さんは・・・ 指1本ずつの感覚を育てましょう! 箸は非常に複雑な動きをするので、指1本ずつの皮膚の感覚の発達が重要になります。目隠しされた状態でお子さんの指を1本ずつ触れて、どの指に触れているかをあってっこして遊んでみるのもいいですね。 3、力のコントロールが苦手なお子さんは・・・ 箸を使うのはかたいものからはじめましょう!力のコントロールができないと、やわらかいものは箸ではさまず、刺して使うようになってしまいます。まずは、豆腐などの柔らかいものはスプーンにして、つまんでも崩れないものから箸で食べるようにするといいですよ。 4、ものをみる力が弱いお子さんは・・・ 食べ物と器の色は違う色にするのはどうですか? 視力が弱かったり、形を判別できないと箸は使いにくい道具になってしまいます。食べ物は器に対して少量ずつのせ、食べ物と器の色が違うようにしてコントラストを出すとみやすくなります。 5、身体のイメージがとらえにくいお子さんは・・・1 本の箸で刺して食べるところからはじめましょう! この場合箸をどのようにもったらいいか分かりにくいということがあります。静的三指握りや動的三指握りが鉛筆で可能なら、まずは1 本の箸でさして食べられるものから食べてみます。次に開閉の必要の少ない麺類を引掛けて、自信がついてきたら四角くきったホットケーキなどを少量ずつからつまんで食べさせましょう。 参考文献(苦手が「できる」にかわる!発達が気になる子への生活動作の教え方ー中央法規ーより) 遊びの紹介(指先の機能を育てる遊び) <洗濯ばさみ付け>=親指と人差し指の動作を促す遊び= クリップの力を入れるところに印をつけておくといいですよ。一般の洗濯ばさみは開閉に大きな力を要しますが、画面の木製クリップは小さな力でも開閉が可能になります。お子さんの様子にあわせて選ぶといいですね。 <どきどきパニック>=じゃんけんでチョキを出すのを促す遊びに= 皆さんおなじみのキャラクターが飛び出す市販のゲームです。じゃんけんで勝った人がキャンディーをもらっていきます。 このときお子さんにチョキを出させるように誘導してみましょう。知らず知らずのうちに訓練に! またキャンディーをさす動作には親指と人差し指で丸を作る動きも含まれますね。 <さぐりあて遊び>=指先の感覚を高める遊び= とって欲しい形のカードを示し、お子さんに袋の中を見ないでカードと同じ形の積み木を取り出してもらいます。 今回紹介している遊具は既製品ですが、例えば袋を2つ用意し、その中に同じ形のもの (ビー玉、おはじき、洗濯ばさみ、積み木、ブロックなど) をそれぞれ入れ、お母さんが取ったものと同じものをお子さんにも取らせるようにアレンジすれば、家庭にあるものでも十分楽しめますよ。